医療コラム
顎関節症の治療は歯科と口腔外科どっち?治療費用や治療方法について解説
医療コラム

目次
顎関節症とは?
・顎関節症の症状
・顎関節症の原因
・顎関節症を放置するとどうなる?
顎関節症の治療は歯科と口腔外科のどちらを受診しても良い
・歯科と口腔外科の違い
顎関節症の治療方法
・スプリント療法
・日常生活習慣指導
・理学療法
・薬物療法
・クリニカルマッサージ
・レーザー治療
・心身医学療法
導入
口を開けると痛みがある、大きく口を開けると頬のあたりから音がすると悩んでいる方は、顎関節症かもしれません。
もし、『顎関節症かも?』と思った場合、歯科と口腔外科のどちらを受診するか迷う方も多いでしょう。
この記事では、顎関節症とは何か、顎関節症の場合は歯科と口腔外科のどちらを受診したら良いのか、治療方法などについて解説します。
顎の関節部分に違和感がある方、顎関節症を治すために受診を考えている方はぜひ最後までご覧ください。
顎関節症とは?

顎関節症(がくかんせつしょう)とは、口を開けた際に痛みがあったりく口を大きく開けた際に音がしたりする顎の疾患です。一生のうちに2人に1人は経験するといわれるほど一般的な疾患であり、多くは治療の必要がないとされています。自覚症状がある方のうち、実際に治療が必要になる方の割合は5%ほどともいわれています。
まずは、顎関節症の症状や原因について紹介します。
顎関節症の症状
顎関節症の主な症状は以下のとおりです。
・顎が痛む
・顎を動かすと違和感を覚える
・食事中に顎のだるさがある
・口が開かない・開けにくい
・顎を動かすとカクッ・コッキンと音がなる
・顎が外れる
顎関節症は、上記のような症状があり、他の病気ではないと判断された場合に診断されます。
顎の痛みや口の開けにくさといった症状は顎関節症以外に親知らずの炎症など別の要因で起こることもあります。
顎関節症の原因
顎関節症になる原因は1つではなく、日常生活で顎への負担などが蓄積し発症します。
顎に負担をかける行為には以下の行動が挙げられます。
・歯ぎしり
・食いしばり
・上下の歯を接触させる癖
・うつぶせ寝
・頬づえ など
こういった行動で顎への負担が蓄積し、許容量が超えた場合に顎関節症を発症します。
顎関節症の原因は顎への負担だけではなく、強いストレスや精神的な緊張によるはぎしりや無意識の食いしばり、睡眠障害、うつ病など精神的な部分が原因となって発症するケースがあります。
この許容量は人によって差があり、男性より女性が多いです。
その女性の中でも女性ホルモンが不安定になりやすい20代前や女性掘る本が急激に減少する40代半ば~50代半ばに患者数が増える傾向にあります。
女性ホルモンが減少することで骨を壊す細胞の働きが活発化するため、顎の骨にも顎関節症といった形で現れていると考えられています。
また、スマートフォンも顎関節症になる原因の一つです。
スマートフォンを使用すると下を向き、前かがみになるため下顎が前に出やすい状態です。
そうなると無意識に上下のはを噛み合わせ、下顎が前に出ないようにする方が多いですが、このような行動が顎に負担をかけています。
スマートフォンの使用時間が長い方は、一度の使用時間を長くても30分以内に決めて、定期的にストレッチなどで背筋を伸ばし、顎関節を動かして負担を軽減させましょう。
顎関節症になった原因については、病院を受診しながら調べていきましょう。
顎関節症を放置するとどうなる?
顎関節症を放置すると、中等度の症状で痛みや違和感が増し、重度になると強い痛みが出て口が開かなくなったり顎が外れてしまったりすることがあります。
また、顎の局部的な炎症だけにとどまらず全身の不調につながる可能性があります。
顎関節症を放置することで起こると考えられる全身の不調は以下のとおりです。
・顔面骨格のゆがみ
・頚椎や仙骨のゆがみ
・頭・目・鼻・耳の痛み
・肩こりや腰痛
・手足のしびれ
・めまい など
このような症状は日常生活にも支障をきたし、気分の落ち込みなどを誘発する可能性があります。
顎や顎関節に違和感があれば、放置するのではなく専門医へ相談しましょう。
顎関節症の治療は歯科と口腔外科のどちらを受診しても良い

『顎関節症かもしれない』と思っても、どこを受診すれば良いのか迷うかもしれません。
口元の専門医であれば歯科と口腔外科がありますが、顎関節症の治療はどちらを受診しても治療してもらえます。
もし、かかりつけの歯科医院などがあればまずは歯科医院を受診しましょう。
ただ、顎関節症の原因によっては、歯科医院での治療ができない場合があります。
その場合は別の科の受診を勧められるかもしれません。
また、歯科医院のなかにはそもそも顎関節症の治療が得意ではない・あまり対応していない場合があるため、受診する前に調べておきましょう。
近くに顎関節症の診療実績が豊富な口腔外科があれば、そちらを受診するのもおすすめです。
歯科と口腔外科の違い
歯科と口腔外科の違いについて、意外と知らない方も多いかもしれません。
歯科と口腔外科の主な違いは以下のとおりです。
| 歯科 | 口腔外科 | |
| メインとなる治療 | ・虫歯治療や口腔内のケア ・虫歯などの予防処置 ・欠損した歯の補綴物装着 ・簡単な抜歯や化膿している部分の切開 | ・歯科よりも高度な外科処置 ・歯科では対応できないような大掛かりな抜歯 ・顎の周囲の外科的治療 ・インプラントの埋入手術・顎、顔面、頸部などの広範囲の手術 |
| 院内の設備 | ・病院ほど設備が整っているわけではない ・検査や麻酔、看護などの専門スタッフが少ない | ・設備が整っている・麻酔医が常駐している |
| 資格 | どちらも歯科医師免許 | |
かかりつけの歯科がある方は多いかもしれませんが、かかりつけの口腔外科がある方は少ないでしょう。
歯や口のトラブルで歯科と口腔外科のどちらを受診すると良いのか迷ったら、まずはかかりつけの歯科を受診しましょう。
歯科医院で対応できればそのまま処置を受け、歯科医院での処理が難しい場合は口腔外科医院など処置可能な医院を紹介してもらえます。
顎関節症の通院期間と治療費用

顎関節症の治療をする際に知っておきたいのは通院期間と治療費用でしょう。
ここでは顎関節症の通院期間と治療費用について解説します。
通院期間
顎関節症の通院期間は治療方法などによって異なりますが、軽度で1~2か月ほど、中等度で半年から1年以上かかります。
顎関節症の治療では、まず検査や診断を行い、顎関節症になった原因を探り、最適な治療方法を見つけます。
顎関節症の一般的な治療方法はマウスピースを使用したもので、検査・マウスピースの作製・装着に3回ほどの通院が必要です。
その後はマウスピースの調整などを行いながら4~5回ほどの通院を行いながら1~2か月ほどで症状が改善することが多いです。
ただ、顎関節症の原因が年齢的な変化であったり、リウマチなどの疾患で顎関節部分に骨の形態変化がみられたりする場合、治療はかなり長期間に渡る可能性があります。
治療費用
顎関節症は保険適用で治療が受けられるため、実際の窓口負担は3割程度で済みます。
顎関節症で最も一般的なマウスピースを使用したスプリント療法の費用相場は3,000~8,000円ほどです。
ほかの治療方法も多少費用相場は異なりますが、多くは数百円~数千円ほどで治療が受けられます。
重度の顎関節症になると外科的治療が必要になるため、保険適用だったとしても数万円はかかります。
顎関節症の治療方法

最後に、顎関節症を改善するために行われる治療方法について解説します。
受診する歯科医院などによっては、対応していない治療方法もあります。
希望の治療方法がある場合は、事前に公式ホームページなどを確認し、希望する治療方法を取り入れているかを確認しておきましょう。
スプリント療法
顎関節症の治療方法としてまず挙げられるのが、こちらのスプリント療法です。
個人に合わせたマウスピースを作製し、就寝中に装着して顎関節のずれを改善し、咀嚼筋を休ませて顎関節症の症状の改善を目指します。
また、顎関節症の原因の一つでもある、歯ぎしりや食いしばりは就寝中など無意識で行っている場合が多く、意識して改善するのは困難です。
しかし、マウスピースを装着することで就寝中の歯ぎしりや食いしばりも予防できる点もスプリント療法のメリットです。
また、スプリント療法のもう一つのメリットとして、マウスピースの装着は就寝中のみで日中は装着する必要がありません。
日常生活への影響がほとんどないため、普段どおりの生活が送れるでしょう。
日常生活習慣指導
顎関節症の発症は1つの原因ではなく、日常のさまざまな行為が積み重なった結果、発症することがあります。
日常生活の行動や癖を意識的に改善することで、症状の軽減を目指すのが日常生活習慣指導です。
患者さんごとの生活習慣や癖によって多少異なりますが、具体例としては以下のとおりです。
- 歯ぎしりや食いしばりをやめて力を抜く
- 体幹を鍛えて上半身の姿勢を良くして猫背などを改善する
- 頬づえをやめる
- 硬く長時間咀嚼が必要な食品は避ける など
簡単な治療方法に思うかもしれませんが、このような行動は無意識下で行われている場合が多く、まずは自分の癖などについて知る必要があります。
多くは別の治療方法と同時並行で進めることになります。
理学療法
理学療法は主に物理療法と運動療法の2つに分かれています。
物理療法は、自分でおこなう顎周辺にある筋肉のマッサージやホットパックなどによる温罨法と、医療機関で行う低周波治療や鎮痛を目的としたレーザー照射などです。
どの方法も顎周辺の筋肉を緩める目的があり、顎周辺の筋肉の力を抜くことで負担を軽減させます。
運動療法は、自分で顎周辺の筋肉や靭帯の柔軟性などを改善するストレッチを行います。
また、顎関節の動きをスムーズにして大きく口を開けられるように下顎可動化訓練なども並行して行うことが多いです。
薬物療法
顎関節や咀嚼筋の痛みが強い場合などは消炎鎮痛の効果がある内服薬や外用薬を使用する薬物療法を行う場合があります。
どうしても筋肉の痛みが強い場合は鎮痛薬による治療が行われますが、痛みが慢性化し長期間続く場合は抗うつ薬などが処方されることもあります。
クリニカルマッサージ
クリニカルマッサージとは筋肉をマッサージする理学療法に分類される治療方法です。
咀嚼筋のコリや疲れをクリニカルマッサージでゆっくりとほぐしてあげることで、痛みや症状の改善を目指します。
コリが強い場合は、ほぐすだけではなく電気刺激なども併用する場合もあります。
レーザー治療
レーザー治療と聞くと医療脱毛などでよく表現される『輪ゴムでパチンと弾かれたような痛み』を想像するかもしれません。
しかし、顎関節症で使用されるレーザーは痛みを感じる神経を刺激しにくい鎮痛作用が期待できます。
痛みを感じることはほとんどなく、少し暖かさを感じる程度です。
レーザーを照射することで、筋肉に代謝を促し、疲れ物資や痛み物質といわれるものを血管を通して排出する機能回復効果を高めてくれます。
場合によってはスプリント療法も並行して行うこともあります。
心身医学療法
顎関節症の原因の一つに歯ぎしりや食いしばりがありますが、ただの癖ではなく強いストレスなどが原因となっている場合があります。
この場合、心身医学療法で顎関節症に対する治療だけではなく、強いストレスに対する治療も並行して行われます。
顎関節症は再発することが多いですが、これは一時的に顎関節や咀嚼筋などの負担を軽減してもストレスがかかるような生活の根本が解決できていないためです。
心身医学療法では、顎関節症だけではなく、顎関節症になった根本の原因も解消し、再発を防ぎます。
まとめ
顎関節症とは、口を開けた際に痛みがあったり口を大きく開けた際に音がしたりする顎の疾患で、一生のうちに2人に1人は経験するといわれるほど一般的です。
主な症状は顎関節痛・咀嚼筋痛や開口障害、顎関節雑音などがあり、顎関節症になる原因は1つではなく、日常生活で顎への負担などが蓄積し発症します。
顎関節症を放置すると、顎の局部的な炎症だけにはとどまらず全身の不調につながる可能性があります。
顎関節の違和感などがあれば、かかりつけの歯科医院などを受診し、症状を確認してもらいましょう。
アップルロード・デンタルクリニックでは、口腔外科専門医が顎関節症の治療を行っています。
主に対応している治療方法としては、スプリント療法・理学療法・薬物療法・外科的治療の4つです。
当クリニックでは、充実したスタッフ数によりできるだけお待たせしないよう努め、マンツーマンの丁寧な説明を心がけています。
プライバシー重視の診療室は壁で区切られた半個室であり、特別な手術にも対応できる完全個室も用意しています。
もし、お口のお悩みがあれば、ぜひ一度アップルロード・デンタルクリニックへご相談ください。